ある日、一人の投資家が天に向かって叫んだ!
「おお~神よ、私にこの世で一番儲かることのできる
トレード手法を授けてください!」
この男は、ちょっとせっかちな性格であったが意欲的な面もあり、
儲かることなら何でも努力するという信念を持っておった。
だから、この日も、神頼みであってもやれることはやるという思いで叫んでいた。
すると、雲の中から光が地面を照らし始めた。
そこに現れたのが投資の神だった。
「お前の願いを適えてやろう」
「この2つの売買手法から選ぶと良いぞ」
「1つは、5年で5億は儲かるが
一回の売買で利益を出すまでに、ちい~と時間がかかる。
そして、注意してほしいのは、値動きの方向に合わせて仕掛けていくのじゃ」
「2つめは、5年で3億は儲かるが、
利益はあるポイントのところに達したら手仕舞いせねばならんから、
一回の利益は少ないが、手仕舞いまでの時間はあまりかからないのじゃ」
「さあ、どちらがよいか選ぶのじゃ」
「ありがたき幸せ!それでは、一番儲かる1つめの手法を頂きます」
男は、5年間でどっちが儲かるかで決めるのが当たり前だと考え、
3億よりも5億儲かる方を選んだ。
そして・・・・この男はどうなったのだろうか?
男は神様の言いつけどおり、早速、株価の動きに合わせて買った。
すると確かに順調に株価が上がってきた。
が・・・しばらくすると、株価が下がってきてしまった。
「なんだ、この手法は!神様に騙されたのではないか」
「私も今まで長い間株の売買で、少しは経験してきた。株というものは、そうそう順調に上がっていくものではないはずだ。」
そう心のなかでつぶやくと、男はすぐに手仕舞いをしてしまった。
しかし神様がいうのだから、もう一度やってみようと思い、試してみると、なんとまあ、またもや株価がさがってくるではないか。
「こんな手法は使えないと、とうとう辞めてしまった」
男は、天に向かって神に叫んだ!
「おお~神よ!よくも私を騙したな!このイカサマやろう」
すると、雲の中から光が地面を照らし始め、
投資の神が再び姿を現した。
「私がお前の前に差し出した売買手法は2つとも、紛れもない儲かる手法じゃ。
しかし私のいうことを守らずに手仕舞いをしてしまっただろう、
だから儲けることができなかった」
「これをみてみるがいい」
神はそういうと、ルールどおり行ったときの結果を男に見せた。
「おお~、あのとき下がってきたと思い、すぐに手仕舞いした後に、
また、上がっていったのか~!くそ~」
男は悔しがると、神はこういった。
「勝つも負けるもおまえ自身の問題じゃ。まずは自分を知ることじゃ」
そういうと神は天に消えていった。
さて、この男はなぜ、これほどの売買手法を手にしたのに勝てなかったのだろうか
経営思想家で知られるピータードラッカーの格言に、
『強みの上にすべてを築け』という言葉がある。
トレードにおける売買手法もまた同じである。
トレードは言い換えると、トレードビジネスであり、
起業をしたといっても過言ではないだろう。
ビジネスの儲かるシステムを構築するときには、
自分の弱みと強みを知ることから始めなければいけない。
自分の能力を踏まえて肯定的な目標を設定し、
自分の最大の強みに働きかけていけばいいのだ。
この男の最大の敗因は、
自分の信念や強みに合わない売買手法を選択してしまったことだ。
自分の資質に合わなければ、どんな優秀な売買手法も役に立たない。
なぜなら、あなたはマーケットの真実を見て売買しているのではないからだ。
あなたは、あなたの信念に焦点を合わせ売買をしているからに過ぎないのだ。