「次に君に考えて貰いたいのは、マーケットの現実についてだ。
マーケットの世界では、稼げる人は10%といわれている。
そうすると負けている人は90%になるね。
つまりほとんどの人は負けていることになるわけだ。
じゃあ、大きく稼げた人と破産してしまう人の違いはなんだと思う?
そういわれて、僕はなかなか答えが思いつかなかった。
「なぜだろう。トレードで稼ぎたいとは思っていたけど、
そんなことまでは考えたことがなかったな・・・
2種類の投資家には、どんな違いがあるんだろう?」
しかたないので思いついたまま言ってみた。
「やはり長年の経験や知識、才能でしょうか?
それともニュースなどを見て、早い情報をキャッチすること?
それとも・・・確実に予想が当たるような儲かる手法を見つけることかな?
なかには、大きく負ける経験こそが力をつけると言っていた人もいましたね」
すると神山は、ニヤッと笑った。
「ほとんどの人はそう答えるだろう。
だから間違った方向に頑張ったり、自分には無理だと考えてしまう。
稼げるようになっていく投資家は、
そういう大衆の考え方では成功できないことに気付くんだよ。
なぜ彼らがそれに気がつけるんだと思う?
それは現実のマーケットとそれらに関わる人たちをよく観察しているからさ。
稼いでいる投資家とそうでない投資家の違いをよく観察していると、
稼げるようになるのに、難しい知識や予想する能力、
誰よりも早い情報、確実に当たる手法などは、
稼ぐための秘訣とは関係がないことがわかるのだ。」
神山は続けた。
稼いでいる投資家は、いろんなものの
存在をありのままに見ることができる。
しかし、普通の投資家は偏見や恐れ、欲、
ゆがんだ価値観、信念からものを見るので、
全く違ったものを見ることになる。
だからどんどん間違った方向に自分を追いやるのだ。
自分自身で自分を失敗に導いているわけだね。
つまり、物の本質を見抜けるようになること、
それこそが稼げる投資家になるための大切な要素だ。
そう語る神山は、重要な何かを悟っているかのような、
違う世界にいるような、そんな気配を感じさせた。
「群集心理に惑わされることなく、
ありのままの現実を見ることができれば、
投資家としての成功は決まったようなものだ。
君にこれから、いくつかの大切な秘訣を教えよう。
ただし、その秘訣をマスターするには、
その心理眼がなければ、この秘訣は習得できない。
そのためには、自分の恐怖や欲、不安、偏見や思い込みを
一旦、クリアな状態にすることだ。いいね。」