さて、前回のブログでは父親に「おまえには出来るわけがない」と言われた人が否定されることを極端に嫌い、自由でありたいという信念に捕らわれて人生にもトレードにも影響が出てしまうというお話だった。
彼はこのことにとらわれて生きてきたわけですが、なぜ父親とこんな関係になってしまったのだろうか。簡単に言えば「コミュニケーション」が上手くとれなかったことが原因だ。
「お前には出来るわけがない」と言われたとき彼は、親に信頼されていない、進む道を束縛された、駄目人間と思われているんだ、親から愛されていないという気持ちになっただろう。そしてそのときの負の感情とその言葉が脳の潜在意識に刻まれてしまった。
その結果、否定をされる度に、そのときの負の感情が蘇り相手を否定するという行動にでてしまうのだ。それによって意識的ではなくても無意識に行動が出てしまうことになる。
しかしよく冷静に考えてみよう。
彼がとらえたように、父親は本当に子に対して「わが子は出来ない、駄目人間だ」と思っていたのだろうか?本当に愛していなかったのだろうか?
おそらく父親は子供に危険なリスクをおかしてほしくなかったのだろう。愛していないどころかむしろその逆である。おかしなことに彼が感じた事と親が伝えようとしたことがすれ違いになっているというわけだ。
親が子供に対して健康で幸福に育ってほしいと願うのは当然のことだ。ただ、親の選択が子供の将来にとって良かったのかどうかは別問題で、その選択によっては問題となる可能性もあるようだ。
彼は、父親が伝えようとしていることや感情を、違うように捉えてしまった。だからその思い込みの感情から逃げようとすればするほど、柔軟な思考ではなくなってしまう。
では彼はどうやってのりこえたのだろうか?
彼はトレーダーコーチングの個人カウンセリングでコミュニケーション能力を学ぶことであることに気づいた。もう察しがつく人もいるはずだ。
父親が自分を否定しているのではなく、むしろ愛しているからこそでた言葉だった。
「お前には出来るわけがない」ではなく、「苦労をしてほしくない」というメッセージだったのだ。
マーケットとのコミュニケーションもこれと同じだ。トレーダーの捉え方や思い込みによって失敗に至るケースは多い。
トレーダーにとって、こういった思い込みや偏見に囚われないニュートラルな心理を養うことが重要である。