コラム

「ミイラとりがミイラになったお話」

ある地方に一人の投資家がおった。

その投資家の住んでいる地域では、証券会社の営業マン

から銘柄を奨められて盲目的に株を買ったりしてる人も多く、
トレードに対しての知識を持っている人も少なかった。

そこで、自分が住んでいる地域の人の金融知識のレベルを
少しでも上げようと決意した投資家は、
その地域に投資教育の塾をつくったそうだ。

しかし、金融の知識に対して間違った思い込みのある人たちが
多く住んでいる地域では、なかなか思うようにトレーダーが育たない。

そこで、投資家は、成功できないで悩んでいる人たちの

悩みを聞いてまわる人を用意しようと考えた。

そうすれば、成功している人に感化されていくのではと考えたわけだ。

さっそく、友人に生活費を自分で稼いでいるトレーダーがいたので、
そのトレーダーにその役割をお願いをした。

そしてその男は一人、二人と悩んでいる人の話を聞いて回ったそうだ。

すると、その悩みを聞く役わりのトレーダーから電話がかかってきた。

「みんな、本当に習ったルールどおりにやれれば勝てるのかが不安みたいですね。
知らない人から習ったものよりも自己流で売買した方が勝てると思っているみたいです」

「自己流とは、テレビやニュースを見て買ったり、勘で買ったり、

証券会社やアナリストの奨める銘柄を信じて買うということかい?」

「そうです。習得した武器を使って自分で確認したり、

考えたりすることはやっていないみたいです。

まるで誰を信じて買うかを選んでいるような感じですね」

「そうか、それでは教える前と何にも変わっていない状態だね。

魚を貰うことばかりに焦点をあててしまっている。だから誰から魚を貰おうかと考えてしまうことになるんだ」

「そうですね、僕は最初の頃、習った後もトレードの成績が落ち込んできて不安になったら、

教えられたとおりの確認作業をやるようにしてきました。

つまり、自分が行っている売買手法の過去のシュミレーション結果を見て、

どういうときに悪かったのか、今はそのときと同じなのか、

そのシステムの特徴はどんなものだったか、

こういったことを見ているうちに徐々に相場というものが理解できるようになっていったんです。」

「なるほど、他の人もそうなるように、これからも相談にのってあげてください」

それから数ヶ月がたったころ、その男から1本の電話があった。

「あれからみんなの話を聞いていると、みんなが儲からないのは

教えている人に不安があるからだというんです。

僕みたいにあなたを昔から知っているわけでもないから、

そんな人の話を聞いて売買することができないから失敗しているというんです。

僕も気持ちはわかります。僕がみんなと同じ立場だったら、そう考えると思いますよ。」

「ところで君はトレードの方はうまくいっているのかい?」

「えっ、トレードですか?それが・・・今は負けが続いているんです。

なんか上手くいかなくなってきました。

この前は、そろそろ政府が為替介入を行うはずなのに、

口先だけだったから、そのせいで負けてしまいました。みんなと文句をいっていたところでしたよ」

「一つ質問したいんだが、君が今まで儲けてきた売買手法を

習った君の師匠は知り合いだったのかい?」

「いえ、初めて会った人でした」

「そうかい、ではもう一つだけ言わせて貰うとしよう。

君が今言った情報を見てやる方法論はその師匠に教えてもらったものかい?」

「いいえ、私の師匠はこういう情報には惑わされるなといっていました」

「だったら君がこれからどうすればよいかは言わなくてもわかるはずだね?」

男は真っ赤な顔をして答えました。

「どうしてこうなってしまったんでしょう?」

続いて、興味深い心理学の実験がある。

1971年、スタンフォード大学心理学部で
心理学者の指導の下に、刑務所を舞台にして、

普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、
その役割に合わせて行動してしまう事を
証明しようとした実験が行われた。

新聞広告などで集められた心身共に健全な被験者らは、
無作為に「囚人役」と「看守役」に分けられて、

実際の刑務所とほぼ同じ環境の中で、
二週間を過ごすことが予定された。

実験は二週間の予定で、
リアルに役を演じて貰うために

パトカーを用いて逮捕したり、
看守達の前で脱衣させたりして、
実際の囚人さながらの服装や待遇だった。

次第に、日がたつにつれて、
看守役は自ら囚人役に罰則を与え始めるようになり、
囚人役は卑屈に服従性を覚えていった。

囚人役にさらに屈辱感を与えるため、
素手でトイレ掃除や靴磨きをさせ、
ついには禁止されていた暴力が開始された。

この実験はあまりに早く問題が生じたために6日間で中止された。
この6日間で、全く別の人格に変わってしまったのだ。

看守役の人はもともとの性格とは関係ない普通の市民だった。
しかし、実験によって決められた役柄によって
その役柄どおりの人間になってしまった。

今ではこの実験は禁止となっている。

(情報源:http://x51.org/x/06/04/2439.php

この2つのお話を読んであなたはどう感じ、決意しただろうか?

人間の「思い込み」がもたらす怖さを知ったと同時に、
このイメージ力を上手く使えば、自分自身を成功に導くことも感じ取っていただけたでしょう。

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